2009年06月29日

ECO System

夏らしい厳しい暑さの週末となりました。って、まだ梅雨のはずなのに・・・、今年は空梅雨っぽいですね。
いやー、それにしてももう既に夏本番か?!と思わせるほどの陽気だったので、週末は家になんて居られません!
こんないい天気を見逃すもんか~とばかりに家を飛び出していました。

実はこの週末は私にしては珍しく事前の準備をしてのお出掛けでした。ま、そんな大そうなもんでもないのですが。
行き先は琵琶湖。厳密にいうと琵琶湖に用があるというよりは、琵琶湖の湖畔にある水のきれいな集落に訪れる事が目的です。

あ、今回の投稿はミリネタ一切ありません・・・。


つい2週間ほど前に「素敵な宇宙船 地球号」というテレビ番組で取り上げられていた「針江大川」。番組中でもこの角度からの映像でスタートしていましたね。

「素敵な宇宙船 地球号」で取り上げられていたのは滋賀県高島市新旭町内にある針江地区。100軒以上の昔ながらの木造家屋が立ち並ぶこの集落では、琵琶湖の西側に連なる山々から染み出た湧き水が豊富に流れる「水の町」です。

番組中で放映された映像から、あまりの美しい町並みと湧き水の存在に心打たれ、訪れる事にしました。

実はこの「針江大川」は、先日のテレビ朝日の放送の以前にも4年前にはNHKの特集、「映像詩 里山~命めぐる水辺」で取り上げられており、その際に視聴者からの反響がすごく、これを機に、第57回イタリア賞テレビドキュメンタリー文化一般番組部門で最優秀賞を、また第2回モンタナシネ国際フィルムフェスティバルでも「人と自然の共生賞」を獲得するなど、世界的に高い評価となりました。
その為、この田舎の小さな町には今でも年間に7,000人以上もの観光客が訪れるようになりました。

放映後の反響により、人々が普段変わらぬ生活を行うこの地区に外部から見知らぬ訪問者が急増。訪問者にとっては単なる見学のつもりであっても、地元地域の方々にしてみると、自らの生活の場を勝手にのぞかれることになる事が大きな問題となり、今では無断でこの地域の見学は固くお断りとなっています。


そんなわけで今回は事前に「針江生水の郷委員会」へツアー申し込みの予約を行ってからの見学となりました。
針江生水の郷委員会
こちらの写真がツアーのスタート地点となる「針江公民館」横の風景。


公園の横には大きな水車が置かれています。実際に現在も使われているかどうかはわかりませんでしたが、水車を見るのも実に久し振りです。

ツアー自体は午前中では10時~、午後は13時~と15時~の3コースが用意されていて、平日・週末にかかわらず多くの予約が入っているようです。
この日は友人らと3人で訪れましたが、8人ずつ程に分かれて地元ボランティアの方々の引率の下で町並みと水の美しさや地域住民の生活、果てはエコの心構えといった事をゆっくりと2時間ほど掛けて歩いて回ります。


集落内では至るところに水路が張り巡らされています。こちらの写真は「かばた道」といわれる針江地区の川沿いに昔からみられる風景。

この風景だけをみると、私が生まれ育った町とよく似ています。私が生まれ育った町は、古くから宿場町を繋ぐ大きな街道沿いにあり、この写真のような水路も私が幼少の頃にもまだ一部残っていました。30年前当時の付近一帯は一面の田んぼ。その為、日常的に水路を必要とする生活となっていた事もあって、それこそ集落の周辺には普通の光景として水路が存在していました。
そしてそこに集まるサカナやザリガニ、カエルといった生き物を目当てに遊んだものです。今でもその名残らしき水路の一部が存在しますが、悪臭を放ち、通行人たちが投げ入れるペットボトルや空き缶、たばこの吸殻といったゴミで当時その水路にお尻を浸けて水を掛けて遊んでいたとは想像できない場所に変貌しています・・・。


さてさて、こちらは針江地区。各家庭では水路に面する場所に「川端(かばた)」と呼ばれる水場を設けています。この「川端」は各家庭のライフスタイルに合わせて、母屋の外に設置する「外川端(そとかばた)」や、中に設置する場合と様々のようです。


こちらが「川端」の中。各家庭には琵琶湖西側にある比良山系の山々から200年もの長き時を経て濾過された湧き水が湧いています。年間を通じて12~13℃の水温が保たれた湧き水。生活を支えるこの湧き水に、地元の方々は敬意を持って「生水(しょうず)」と呼びます。
一般的な読みである「なまみず」と呼ばず、「生きている水」の意味から「しょうず」と呼ぶようになったようです。

川端には壺池(つぼいけ)と端池(はしいけ)という名の高低差を利用した水の使用に領域を設けています。各家庭にはポンプが設置され、約20m地下から汲み上げられた湧き水を使って炊事や洗濯に利用しています。もちろん水路へ流す際には化学素材が入らぬよう配慮され、洗剤を使った状態で川端を利用する事はありません。


川端には籐びくやザルが掛けられています。畑で収穫した作物を水洗いしたり、漁で獲った魚を捌いたりする川端に地域の生活が窺えます。

ただ実はこの川端、写真家の今森光彦氏が冒頭にあったNHKのテレビ番組で番組作成の際に指揮を執っていなければ今頃は存在していない状況にあったかもしれないそうです。
2004年の番組放送時点では既にそのほとんど使用されていなかったとのネット上の記事もあり、当時は水道水の使用へと移行していたそうです。

その状況を大きく変える結果となったテレビでの特集の影響は地元の方達も口を揃えて言われている事からも相当であったと思います。「影響」が形として、目で見て分かる状況となったのが、大変な数の観光客。広く日本以外から海外の見学者も後を絶たないそうです。これら観光客の数に押される格好となり、地域で従来より根付いていたはずの「川端」システムが非常に注目度が高く、価値のあるものである事を認識したそうです。

そして現在この地域での上水(じょうすい)における比率は湧き水が実に70%を超える程になったそうです。


とある民家の川端の裏側。ツアーコース上の民家なので、もちろん許可を頂いて撮影しています。
こちらの写真にある玉葱は写真右下にある湧き水の水路のお陰で一定温度に保たれ、夏場の暑い時期でも、逆に冬場の寒い時期でも適度な保存を行えるよう、一定した気温に保たれるそうです。


集落中のあちらこちらに張り巡らされた水路。この水路に豊富な湧き水が潤沢に流れている為、集落全体が程好くヒンヤ~リと涼しいのです。この日は30度を超える暑い一日でしたが、ずっと歩き回っている私たちを涼しい気体で柔らかく包み込んでくれるそんな感じです。きっとマイナスイオンもタップリなのでしょう。


中山工房さん。クラフト「かばたトンボ」など味わいのある作品を造られます。


こちらはその中山工房さんのところにある川端。
川端にはコイやフナ姿が必ずあります。これら雑食性の魚類を中心とした生物の存在により、有機物のエコロジーサイクルがうまく回転するような仕組みとなっています。その為、この地域の人たちに言わせると、コイは「地域住民の仲間」。一緒に「住む仲間」としてありがたい存在となっています。

いわばビオトープのような空間がこの川端や水路の中に形成されています。小さい頃から水槽の中で簡単なビオトープを作ろうとした事がありましたが、こうして真のビオトープと共に生活をするというのには憧れの視線で見学させてもらいました。
ビオトープ - ja Wikipedia


こちらは別の方の川端。内川端(うちかばた)と呼ばれるスタイルになっています。


川端を案内して頂くとこんな感じになっています。写真左下に壺池があるのが分かります。


集落内を散策していると豊かな湧き水に支えられたこの土地で育つ野菜の姿も見受けられます。ただ、意外にもあまり農業には力を入れていないようで、沢山の畑や田んぼがあるというイメージではありません。


こちらは小さな水車。芋洗いがセットになった水車です。手前の青い陶磁器の鉢から湧き水が噴出しています。


鉢をアップにすると分かり易いかと思います。
この集落にはそりゃーもう至るところに水のみ場が用意されています。もちろん飲み水としてそのまま飲める水質のものばかりですが、一応建前上は保健所が飲料水として許可している箇所での飲むようにしなければなりません。

ちなみにここ針江で湧き出る水は日本人好みで飲み易いとされる「軟水」です。
クセの無い飲みやすい水なので、普段から地元の方は飲料水として最も口にしている飲み物になっています。その為、この地域内には自動販売機による飲料の販売に不向きで、事実、これだけの観光地になった今でも飲料用自販機は地域内に1台のみです・・・。


こちらの川端では特に大きなコイが居ます。写真ではサイズが分かり難いかもしれませんが、80cm以上はありそうです。
そして写真内の赤枠部をよーく見ると・・・、コイやフナといった魚類とは異なる存在の陰が。


実はこちら、キレイな水、清流にしか居ないといわれるサンショウウオ。「ウオ」となっていますが、もちろん両生類です。
大きさからもオオサンショウウオのような気もしますが、オオサンショウウオの場合は採集・飼育禁止となっています。近年の個体数減少っぷりからもワシントン条約付属書I類指定で国際取引も禁止となっています。
また、近年は食用として持ち込まれた外来種のチュウゴクオオサンショウウオが野生化し、在来のオオサンショウウオとの交雑が問題になっています。お近く京都は賀茂川に生息するオオサンショウウオの44%が雑種であるという結果もあるそうです。

チュウゴクオオサンショウウオも「絶滅寸前」の種としてワシントン条約附属書Iに記載され、国際希少野生動植物種に指定されており、法令等により保護対象となっています。その為、交配による雑種は単純に外来種として処理できずにいるそうですが、こちらの写真のサンショウウオがどの種類にあるものかは分かりません・・・。


こちらはまた別のお宅の川端。壷池から滴る湧き水と長い時を経て育ったコケのマッチング美しいです。


と・・・、ヒトがこの美しい被写体に心惹かれてシャッターを切っている時に後ろで何やら企んでいる動きがあったようです。
この光景、後で知りました・・・。






こちらは曹洞宗の正傳寺(しょうでんじ)。こちらのお寺の敷地内にも湧き水で素晴らしい光景が見れるとの事で案内して頂きました。


こちらが境内に設置された水飲み場。もちろん湧き水。こちらのお寺はこの地域の中でも湧き水の掘る深さが更に少なく、15m程度掘り下げれば湧き水が出てくるとの事です。
何度飲んでも美味しい水です。


こちらも正傳寺の境内にある亀ヶ池(かめがいけ)。写真中央で水が噴出している箇所が湧き水。水質の良い場所にしか群生しないセリも確認できます。

この池は、先代の住職から現在の住職へ変わられた際に補修を行い、その際に従来は池の名前の通りカメが沢山居たものの、補修したいタイミングから急にカメの存在が居なくなってしまったそうです。
「亀ヶ池」の名に恥じぬよう?かどうかは知りませんが、その後何度と無くカメを捕まえてはこの池に入れたものの、住み着く事は無かったそうです。何でなのでしょうね・・・。

「池」と名前が付いていますが、他からの流れ込みもあるようで、遠くは琵琶湖まで水路をたどる事ができるようです。その為、琵琶湖のブラックバスがこの池に辿り着いたりもしているようです。(誰かがこの池までブラックバスを持ち込んでいる事も考えられますが・・・)


こちらが正傳寺の裏門?
敷地の外枠が水路となっています。


その水路の中を覗いてみると、梅花藻とカワニナの姿が。幼少の頃、カワニナなんてそこいら中で見掛けていたのに、今はあまり見なくなりましたね。
カワニナが居るということは、そう、もちろんホタルも居ます。
ホタルの幼虫が好んで食べるカワニナが大量にいれば、この時期この地域の夜はきっと賑やかでしょうね~。


こちらは正傳寺と道を挟んで向いにある上原豆腐店。創業100年の老舗豆腐店。


上原豆腐店でも川端を利用して豆腐を用意してくれていました。沖縄産のにがりを使い、地元の湧き水と大豆で作られた豆腐をその場で試食。ここまでくりゃー、そりゃウマイのは当たり前かも・・・^^;

と、駆け足で集落内の川端を中心とした生活に触れるツアーの模様をお届けしてみました。ツアー自体は前日までの予約でOKですし、しかも何と言ってもたったの1,000円。2時間ほど掛けて隈なく針江地区を案内してもらえます。

古き良き日本の生活がここにはまだ残されているんだなーと思い、実に楽しかったです。
地元の子供だちが針江大川やその水路で水遊びをしているのですが、ちょうどそこに地元ガイドのお母さんが通り掛かり、「コラ、そんなところ小学生だけで遊ぶんじゃありませんよ。中学生のお兄ちゃんたちと遊びなさいよ」と注意すると、子供が「はい!分かりました」と実に規律正しい受け答えをする姿に関心させられました。

それ程大きな集落じゃないですし、田舎なので、昔からのオトナとコドモの力関係というか、本来のあるべき姿が残っているからこそなんだろうと思います。
多分、これと同じ状況が都市部で起こった場合は、子供が「ウルセー」とか言ってどっかに行くんでしょうね・・・。

この地域で出会ったお父さん、お母さん達はみんな兎に角人懐っこいです。
「ほら、うちにキュウリあるから食べていきなよ」と言って、見ず知らずの私たちを裏庭の勝手口から招き入れ、畑で栽培しているキュウリを捥ぎ取り、川端で冷やして食べさせてくれました。

ひょんな事から話に花が咲き、思った以上に長居してしまいました。いやー、ホント楽しかったです。


ツアーが終わった後、冒頭で触れていたTV番組で登場した琵琶湖への流れ込みのスポットはどこだろうと思い、捜してみました。事前に先程登場の地元のお母さんにも大体の方角を聞いていた事もあって、それ程迷わずに到着。

実はこの日、移動は全てバイク。と言っても私は運転していません。後部シート専用者です^^
いやー、バイクに乗っての遠出は実に久し振り。多分記憶を遡っても高校生の時以来かな・・・。

バイクでの移動をナメていました。クルマと違ってバイクだと風とエンジンの振動をモロに体で受けるので、思った以上に体力を消耗します。それでなんですね、バイカーが夏でも厚着をするのは・・・、と今更ながらに実感しました。

目的地に到着後、少し休憩をしていると、向こうの方から初老のお父さんの姿がこちらに向かってきているのが見えました。
よーく見ると、先程の針江地区で座談している時に居たお父さんじゃないですかー。


ここで再会したのも何かの縁、という事でご好意で近くに停めていたお父さんの手漕ぎボートでテレビ撮影されたスポットへ案内して頂くことに。


「女の子でもないのにサービスし過ぎかな~」なーんて事を言いながらも私たちをボートで案内してくれるお父さん。
ボートを走り出して間も無く、一面に群生するオオフサモが目に入ってきました。

夕日と相まって、金色(こんじき)に輝くフサモ。「自然豊かな光景だなー」なーんて思うと大間違い。このオオフサモは外来生物法により特定外来生物に指定されており、研究用など特別な場合を除き、一切の流通が禁止されている「害草」。これだけビッシリと群生してしまっている事は良くない事です。


まるでアマゾンの奥地を突き進む「川口探検隊」!←古っ!
残念ながらテレビで紹介されていたイメージからは程遠い荒廃っぷりです。水は濁り、水面には油が浮いています・・・。
あの豊かな湧き水で潤っていた針江大川の下流とは思えない光景です。



程なくすると到着したのが絶景のポイント。行政の広報写真や、それこそテレビ番組のオープニングなんかでも何度と無く登場したこの場所。それらで取り上げられた時と同じようなアングルでシャッターを切ってみました。


こちらが針江大川の特集番組で度々登場する地元漁師 田中三五郎さんが長年使ってきた木造の舟。既に使われないようになって久しく、あちらこちらが朽ち果ててきています。

実に”味”のある雰囲気です。この日一番のお気に入りの写真です。

そしてここまでボートで案内してくれたお父さんに連れられ、お父さんの自宅にお邪魔する事になりました。いやー全くもって予想していない展開です^^;

どこでどう気に入ってもらったのか分かりませんが、自宅にまで上げてもらい、更に簡単な食事までご馳走になってしまい、挙句の果てに泊まっていきよしーまで言って頂き、・・・お父さん、お母さん、すんませんー、有難うございました。
また絶対遊びにいきますね!
Posted by ahahamaster at 20:12│Comments(3)
この記事へのコメント
お久し振りです。
”フレーム難民”改め”リインフォース”です。

琵琶湖湖畔にはこの様なひなびた所があるんですね。
私、東京なのですが関西にも友人が多く、年に数回は琵琶湖近辺にも出没します。
先月のGWにも、琵琶湖湖畔のキャンプ地でバーベキューをしましたが、全然知りませんでした。

今度行く時は時間を作って訪ねてみたいですね。
Posted by リインフォース at 2009年06月29日 21:05
リインフォースさん、こんばんは。
お久し振りです。コメント有難うございます。

琵琶湖は南部と北部でまた違った「顔」があるので、面白いですね。
この時期は琵琶湖のどこの浜もバーベキュー客でいっぱいです。

少し趣向を変えてこういう場所を訪れてみるのもまた良いもんです。
是非一度訪れてみてください。
Posted by Lumino at 2009年06月30日 18:28
針江に住んでる中学生です
たまたまこのブログを見つけて
こめんとしてます!


うちの家の写真が
のってて驚きました。
改めていいトコロに
すんでるんだなと思いました!!
Posted by ☆ at 2009年08月08日 12:37
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